夢
なろうで書かれる乙女ゲーみたいな魔法学園。主人公は、その世界で“歪な魔力(=劣等生)の象徴”と言われる赤の髪を持ち、サイズの合っていないお下がりの大きな制服を着て、頬にはそばかすが多く目は暗い緑色をした地味な女生徒。その容姿に加え、父親が旧友同士という理由だけで、優秀な生徒からなる生徒会の会長である“白面の君”(この世界で“白面”は光り輝くかんばせという意味で、とにかく魔力も純粋でかなり優秀という設定らしい)の婚約者であるせいで、上級生下級生男女問わず殆どの人間(“白面の君”含む)から遠巻きにされ、悪い人間にはひどく虐められるなどしていた。
ある日、婚約者のいる人間は婚約者と共に参加するのが常の、生徒会主催のパーティで、“白面の君”が自分ではなく生徒会の別メンバー(セオリー通りのピンク髪)と参加しているのを見つけてしまう。数少ない友人が心配する中、主人公は「大丈夫!私、嫌われるのは慣れているから」と微笑んで流し、それを見てピンク髪はクスクス笑い“白面の君”に腕を絡めしなだれかかる。が、“白面の君”は全く意に介する様子がない。
夢
「何で笑ってんだ気色悪いな!」とさらに髪を掴んで引っ張ろうとした男生徒が急に仰け反り、後ろに弾き飛ばされる。体勢を立て直した男生徒が再度主人公を見据えると、そこには冷たい魔力を帯びたレイピアを構えた“白面”が主人公を守るようにしている。「お前ら何なんだよ!?」と吠える男生徒の前で、主人公は体勢低く構えている“白面”の頭を撫で「実に可愛い忠犬でね。私が命じると“ワン”の一声で何でもこなしてしまうのだよ」と言い放つ。主人公こそが学園に潜入した秘密警察で、“白面”はその使い魔だった。人間を使い魔とする術は高位の魔法使いどころか“悪魔”にしか使えないとされており、男生徒は青ざめて後退りし、走り去る。
「追いますか?」レイピアをしまいながら訊ねる“白面”に主人公は「“魔眼”の射程に入った。彼はシロだ」と返す。主人公は相手の隠し事を見通す“魔眼”を持っており、先ほど顔が至近距離に近づいたために隠し事の内容を垣間見たのだった。「しかし、これでは我々の関係が露呈するのでは」となお懸念する“白面”に「彼は君のことを敵視していた。選民思想の生徒会の彼奴等が果たして『秘密警察が私で“白面”はグル』などという世迷言を信じるか?……まあ手は打つさ。彼の“隠し事”は、私の手の内なのだから」と返す主人公。
ここで目覚めてしまった
夢
次の日、本来休みであるはずの生徒会メンバーを“白面の君”が招集する。聞けばここのところ、学園内で不審な魔力が検知されているという。不審な魔力は、学園に設置されている結界やポータルを壊したり、生徒の体調不良や精神不安を誘発するような形で使われているらしい。その捜査のため警察の介入を受け入れることにしたと告げる“白面の君”に、他の生徒会メンバーが反発する。「学園の自治が乱れる、まずは生徒会メンバーが捜査すべきでは」との意見が上がるのを聞き、“白面の君”は「それらの不審な魔力は非常に古く強い魔法を動かしており、そのような芸当ができるのは上位生徒会メンバー、つまりこの場にいる者以外にはあり得ない」と応える。「俺らを疑ってるってのかよ!?」と食ってかかるメンバーに“白面の君”は「捜査対象には私も含まれる」と返し鎮静化させ、とりあえずその場をおさめる。
次の日、主人公がひとりで歩いていると、会議で“白面の君”に食ってかかったメンバーが詰め寄ってくる。「この学園の一番の嫌われ者といえばお前だよな、お前が犯人なんじゃないのか?違うなら“白面”に吠え面かかせたいから協力しろよ、オラ」乱暴に胸ぐら掴まれる主人公だが、急にクスクス笑い出す。