第3章 道徳的制約と国家〈道徳理論の非決定性〉
・道徳面で人間を動物から区別するものは何か。たとえば、上位の存在には功利主義、下位の存在には付随制約という階層付けを考えると、三つの道徳的地位を区別することになる。
(地位1)最上位。この存在は他のいかなる存在の手段として扱ってはならない。
(地位2)中間。上位の存在のためには犠牲にされてよいが、同位や下位の存在のためには許されない。
(地位3)最下位。他のいかなる存在のためにも犠牲にされてよい。
・直感的に人間は地位1であると言いたくなるが、いったいなぜそのようなことが言えるのか?
・また、人間を地位2に置くエリート主義的改装秩序説と絶対的付随制約説とは、実は人間がまだ地位1に出会ったことがないのだと考えれば、現実の道徳判断のほぼ全てを同じように説明できるだろう。
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