川野芽生さんの『かわいいピンクの竜になる』、情けないことに2000円を超える価格を理由に今まで買わないでいたのだけど、やっぱりどうしても読みたいし、それに何より私の手元にあったほうがいい本だと判断して買った
予感は的中し、序盤から徹底的なまでに寄り添われている まだほんの10ページしか読んでいないのに、小さくてかわいい、そのうえ美しく強い竜が机の端に優雅に腰掛けて、きれいな鱗が並んだ尾で私をやさしく叩いてくれているような気がする

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やっぱりどうしてもほしい本だった 読む前からわかっていた たまにこういうことがある

川野芽生 読了

テーマは「装いと解放」

帯文「間違ったこの世界で、それでも私はようやく、自分の羽衣を取り戻した。」は、はじめてロリィタ服に袖を通したときの川野さんの感慨だけれど、これを私のやり方に言い換えるとしたら「相棒たちを取り戻した。」といったところだろうか(私はやもり1匹、とり3羽、ねこ2匹、そして人間ひとりと暮らしている)

ある朝博士に呼ばれて3匹のなかから悩みに悩んで選んだ相棒と冒険に出るはずだった、そっちの世界の自分こそが真実だったと読みながら思い出した
川野さんのように装いによってではないけれど、私も"あるべき世界"では子どもの頃からこんなふうに暮らしていたのだと今いるパーティ(集いではない、一行のほう)を眺めながら思うことがあるので、違った角度からではあるものの共感できる箇所がたくさんあった

その装いにまつわる抑圧、性差別、性加害、そういった問題にもはっきりと言及するので読むのがつらい箇所もあるかもしれないけれど、そういう章でははじめに注意書きがある
差別主義者を除くどんな人も傷つけまいとする姿勢が明確に伝わってくる本であることは間違いなくて、そこは安心して読めるのじゃないかなと思う 待ってMastodonなのに文字数が足りない

子どもの頃から大人たちが口を揃えて「おまえはうまれる時代を間違えたんだね」と言うので自分でもそうだと思っていた でも間違えたのは時代ではなくてこの世界まるごとだったのかもしれないね

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