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文スト敦鏡小噺 

いつだったか。父と母とに連れられて散歩した時に、綺麗な花道を見た。白亜の建物からは、ふわふわの白い服を着た女性が歩いてくる。突き抜けるような青空と、紺のただただと穏やかな水平線とを背景に、女性が花弁でも纏っているかのような華やかな笑顔だ。
「私も、こんな一枚の絵になるような、綺麗な女の人になりたい」
それが結婚というものの一部だとも知らずに、無邪気に私は「あの絵になりたい」と願った。

数年経って、記憶をたぐり寄せる。あの花嫁が微笑む視線の先には、花婿の姿があったことを。そして、今の私は気づいていた。私がなりたい絵には、花婿がいること。その花婿になって欲しい人は、いつも隣にいる人だということも。

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