ボエシ「自発的隷従論」感想
ボエシ「自発的隷従論」読み終わった。西谷修さんの解説は最後まで学び深かった。
自発的隷従、はその言葉ひとつですべて言い尽くしてるかのように見えて、やっぱり言い尽くしてはいない。内容をちゃんと理解する必要がある。
早く言えば、何者かへの自発的隷従は層をなし構造をなし、強固な支配構造となって末端に及ぶということだけど。
最後の最後に訳者あとがきがあって、「解題」にはあまり感心しなかったからな…とか思いながら読み始めたら、この日本語版の成立過程が事細かに説明されてて。これも興味深かった。
フランス留学してても歯が立たないと思わされるような古いフランス語らしい、原書は。その訳出の苦労にはほんと偲ばれるものがあった。
というか最初から全訳しようとしたわけじゃなく、勉強会みたいなとこから始めた企画だったらしい。それが解散してさらに数年後、西谷修さんが声をかけて出版に向けて動き出したって。
本全体として考えてもヴェイユの論評や西谷修さんの解説があって初めてほんとに充実した一冊になってると感じる。その構成をもつのはこの日本語版だけだと思うととても不思議というか感慨深いというか。これはよい本だな。
読んでみてほんとよかった。