塚田万理奈『満月、世界』 at ユーロスペース
Marina Tsukada 'Mitsuki, Sekai'

正直ド肝抜かれた。
玉井夕海目当てで観に行ったらドエライものを引いてしまった。主演の2人の少女と玉井さんのアップの強度が恐るべきレベル。んで、カメラはすごくやさしい。

どうなってるんだこれは。 最初ドキュメンタリーなのかと思ってしまった。パンフを読んで、こういう撮り方だというのは分かったが、でもこのたたずまいは普通には作れないぞ。

「満月」。最初の母娘の朝食の長回しのカメラがやさしい。ゆるやかに移動しながら距離を保ち、2人の空気をできるだけそのまま撮ろうとしてる。ラストのダンスシーン以外、このやさしさは一環している。
満月が一人で机に向かいながらいきなり歌いだすショットとか、クラスで喋ってるシーンとか、ドキュメンタリーにしか見えないが、演出なんだよなあ。
ダンスの前、入念に髪を後ろに縛る後ろ姿のシーンの長回しがとにかく素晴らしかった。

「世界」。主演の秋ちゃん(彼女も素人のはず)の、なかなか言葉が出てこない表情の強度がすごい。階段を掃除しながら会話に加わらない(加われない)あの空気をカメラに収めるのがすごい。
クラスの中では言葉が出ないのに

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、母親とのきついやり取りだけは多弁になる。言葉で世界と対峙することの難しさ。それを見ているからこそ、ラストのベランダの(言葉じゃない)ハミングの長回しが素晴らしい。

玉井夕海さんに関しては、映画は『NOT LONG, AT NIGHT』以来なんだろうか。この方は脇役ではなくスクリーンの真ん中でこそ映えるので、久しぶりに観れてうれしかった。

渋さのライブに行かなくなって久しいが、もっとスクリーンで観たい人。『MOTHER SUN』レコ発を外苑前で聴いた夜が懐かしい。

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