バス・ドゥヴォス『ゴースト・トロピック』2回目をル・シネマで。以下ネタバレ。
(長い感想はthreadsに書いていたのだがこっちのほうが枠大きいのでこちらで)
次から次へと「とり残される (left alone)」映画。レフト・アローンてどこかで聞いたような略
主人公は終着駅にとり残され、バスの中でもとり残され、彼女のコーヒーカップは会議室に、ティーカップはドラッグストアに、犬は路上に残される。彼女がやっと車に乗れたと思ったら今度は娘に「とり残される」。娘はボーイフレンドに取り残され、ラストは砂浜で友達からとり残された娘の強い横顔のカットで〆。
最初と最後の、部屋の中をタイムラプスで撮影したカットも、住人に「とり残された」部屋だし。
「そこにはもういない誰か・何か」の痕跡を、16ミリの画像とエモい劇伴(このギターがまたえげつない)で抉り込んでくるそのパワーはすごい。主人公が車に拾われたシーンの次の、ヘッドライトの群れがホタルのように移ろうカットをはじめ、不在の部屋で「しーっ」ってやる若者、路上に佇む犬、ガソリンスタンドのライトの下に立つ主人公、印象的なカットがこれでもかと。
個人的には『Here』の方が好きだけど、残り2作も早く公開してほしい。絶対この監督はただもんじゃないと思う。