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まとまった待ち時間があったので、図書館で手に取った木皿泉・著『カゲロボ』を読む。動物への暴力が出てきそうなところで一瞬たじろぐが、それはびっくりする方法で回避される。

ここのところ、戦時における暴力のトラウマが現在の社会状況にどのような影響を与えているか。ということを少しずつ勉強している。

この短編に出てくる中高生は戦時性の暴力で起因したトラウマを持つものの、4世とか5世とか。もうこの暴力が何に起因しているのか、誰から受け継いだのか。薄まった混乱をなぜこのように抑圧的に振る舞うのか訳のわからないままの社会を生きている。

それは薄まった。薄まった分、社会の隅々まで浸透していて、当たり前のようにその中で生きる。空気のように漂うそれを吸ったり吐いたりしないといこの社会では生きていけない。

この短編集はそれをどう除けていくのか。丁寧につぶさに。摘み取ることなく、暴力だけを取り除くことが出来るのか。そういう試しみを「ロボット」を使って行う。ロボットは遂行する。ロボットはその点で変わらない。それゆえにヒトは遂行しない。ヒトは変化して、暴力を遂行しないことを選ぶ。 

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