自殺した友人の話(2)
@hokuto_yozora
そうしてその女性(以下彼女とする)と生活するになった彼には一つの夢が出来る。それはとてもシンプルで、彼女と結婚して幸せになる事だった。
ただ、幸せはそう長くは続かなかった。
Aくんの同棲相手であった彼女が、心中を計画してしまったのだ。
思春期というただでさえ精神的に弱っている時期に鬱も患ってしまったA君にとってそれはとてもとても魅力的なものに映ったのだと思う。
その後も何度か通話をする様にしていたのだが、A君が壊れていく様がマジマジと通話越しに感じ取れた。
自分は彼女と、tentacionのアルバムの表題と同じ年齢で自分の愛する人とこの世を去るのだと、そう僕に強く説く彼の口調はどこか寂し気だった。
そうしてその日は来る。確か11/15ごろだったはずだ。
明日自分は近くのマンションから彼女と飛び降ります。星野さんは幸せになって下さい。と、それが彼と話した最後の通話だった。
そうしてその数時間後に、彼は彼女と共に本当に飛び降りてしまい、帰らぬ人となってしまった。
(続く)
自殺した友人の話(3)
@hokuto_yozora
A君は亡くなる前に全てのSNSのアカウントを削除したのだが、唯一spotifyのアカウントだけは消さずに残していた。
それは僕のフレンドリストでただ一人、あの日のままの彼の様に静かに鎮座している。もう二度と更新されることの無いアクティビティやプレイリストはまるで亡くなってしまったtentacionの様だ。