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ヴァジム・シェフネル「沈黙のすみれ」(SFマガジン2007年6月号/合田直美訳)読んだ。
これは傑作。飛行機の墜落未遂事故の影響で全く話せなくなってしまった女性——「沈黙のすみれ」——を妻に娶った男だったが、二度目の飛行機急降下のショックによって、元の状態に戻ってしまう。元の状態、つまり病的な饒舌に……。
常軌を逸したおしゃべりっぷりに、元々無口な男は耐えきれず、見ず知らずの語り手に「あなたをなぐらせてください」とせがむ始末。その後もわざと車に轢かれたり……。最終的に妻はその饒舌を口ではなく筆で活かして文豪となるというオチも何ともとぼけていてよい。
ユーモアに満ちた知られざるロシアSFの名作。ユーモアSFアンソロジーを編むことがあればぜひ入れたい。

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