【配信後記・20230527】
今日は翻訳家のルイーズ・ヒール・河合さんをお招きして、英語と日本語の混成インタビューを行いました。
まず、マンチェスター弁の音読がとても良かった。音読がここまで活き活きと成立する英訳も珍しい気がします。
また、方言の翻訳について質問をしたときに、ヒール・河合さんが繰り返し「味」という言葉を使っていたのが印象的でした。
原文を味わい、訳文でもその味を出すという考え方は、とてもよくわかります。他方で、英語の読者層はかなり平板で狭いテイストを持っているので、大手出版社が味わい深い英訳を採用できないという現実もよくわかります。
標準語への圧力は、大衆迎合への圧力やマスマーケットへの圧力でもあり、文学表現の自由にとって大きな障壁ですが、そうした圧力に負けずに先鋭的な仕事を続けておられるヒール・河合さんに、中の人も活力をもらいました。
日本でも、文学の未来は大手出版社や有名媒体ではなく、小規模な版元や媒体の自由な作品が担っていくのだろうと思います。
視聴者・参加者のみなさまに大感謝。