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【SPN】彼の傍に【C/D】S13 

 お前が本当に愛している者を知っている。
 虚無はカスティエルにそう言い捨て、微笑んだ。愛する者の為に何度も死んだこと、なぜ地上に再び戻るのか、愛するたびに苦しめられるというのに、まだ求めるのかと。カスティエルの姿を模した虚無は意地の悪い笑みを浮かべた。
 叶わぬ恋だ。
 自身も充分理解している。ディーンに向ける感情に「恋」と名付けるには、あまりにも軽率で安直だ。以前なら否定しただろう。だが、もう見て見ぬふりはできない。これだけの感情を。
 目を閉じればディーンの姿が浮かぶ。笑顔も涙も怒りも全てが愛おしい。あの魂の傍にいられるならカスティエルはどんなことでもするだろう。
「私を地上に戻せ」
 愛することは苦しいことだと地上で学んだ。虚無が言うようにここで眠っていた方が楽だろう。それは、彼の傍にいることよりも優先することか?
虚無には理解できなかった。カスティエルを得体の知れないものを見るかのように視線を向け、距離を取る。
「気味が悪い」
 虚無はそう言い捨て、指を鳴らす。
 カスティエルが次に目を覚ますと、小川のせせらぎと一面の草花と近くには風車が見えた。地上に戻ったのだと、安堵する。

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