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【SPN】恋に落ちた瞬間【C/D】 

 それが恋だと気づいたのは随分たってからだった。カスティエルは、自身の手型があったであろうディーンの肩に手を添える。ディーンはビクリと肩を震わせ「キャス?」と、囁いた。
「一目惚れだったんだ」
「……なに?」
 ディーンは目を丸め、カスティエルが言わんとする事を探っていた。疑り深いその瞳は、どこか臆病でもあり、自分自身を肯定することが難しい。なぜ、これほどの愛に溢れた男が正義の心を持ち合わせていながら自分自身を愛せぬのか。ならば、カスティエルが何度でも示してやらなければ。
「これほどまでに美しい魂を、地獄の底で見たことがなかった」
 地獄の底でだぞ。と、念を押しディーンの肩を強く掴む。
「だから、最初に恋に落ちたのは私だ」
 それはどこか自慢げに聞こえたかもしれない。彼の鼻先に散らばるそばかすがはっきりと見えるのは、真っ赤に染まる頬のせいだ。揺れるヘーゼルグリーンの瞳は、カスティエルだけを見つめている。
 地獄から彼の魂を引き上げた時もディーンはカスティエルから目を離さなかった。
「だから納屋で会ったとき既に君に恋していたんだ」
「……ずっと俺から目を逸らさないわけだ」
 あの時のお前、少し怖かったぞ、と呟いたディーンは顔を俯向かせたまま、カスティエルの胸に飛び込む。

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