ケリー・ライカート『ミークス・カットオフ』を見た。
目を凝らして見ることを要求するようなロングショットの数々、逆光で黄金色に輝く丘陵、月明かりのみで雲のシルエットが浮かび上がる夜の場面。いずれも見応えがある。
遠くに点のようにみえる、馬に乗った人物がその画面手前を横切る馬車に隠れて消えてしまう場面など、サスペンスの演出が普通にできるからこういうほぼ何も起きない映画を見せてしまえるんだろうな。
あまりにも暗い夜の照明は、過去のライカートの映画にも出てくるわけだが、カメラの技術躍進によって可能になったルックであり、本作の8年後に撮られた『ヘレディタリー』などと同時代の映画なのだと感じた。
ミシェル・ウィリアムズが銃を構える決めのショットが甘い。