読了 中山七里/ワルツを踊ろう
田舎から都会へ出ていった主人公が外資系企業をクビになりUターンしてくる物語。
エリートだった彼が限界集落となった故郷へ戻ってくるも余所者、一度生まれ故郷を捨てて出て行った者への排斥という田舎あるあるに悩まされながらも、なんとか馴染もうとしていく。
しかし空振りばかり。
この主人公、有名なシュトラウスの「美しく青きドナウ」を崇拝しているのですが、後半の殺戮ラッシュの時にこれを聴きながら暴れ回るんです。
作者が音楽描写も非常に精緻に描き込んでくるので次回からドナウを聴くときに場面が蘇りそうです
岬シリーズなど、音楽描写が秀逸な作品も書いてる作者なのでそれはそれは美しい音楽描写とグロテスクな殺戮シーンの落差たるや。
"ああ、何て楽しいのだろう。血と歌い、肉と踊る。相手が血に塗れ、自分も返り血を浴びると、まるで二人してワルツを舞っているようだ。了衛は恍惚としながら見えないタクトを振る。"という文体、表現にはゾクゾクとするものを感じました。
あぁ、「ワルツを踊ろう」か。とストンと落ちました。
さて、最後にとある人物のもとに宮篠さんが現れヒートについて言及する場面が。
おぉ、ヒートがここでも絡んできた!というラストでした。
#読書