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自室の机の上やその周りにいつもたくさんのメモが散らばっている。
落ち葉みたいに重なり、積もっている。

それらは多くが「行く」「買う」「渡す」「借りる」「返却する」「読む」「書く」などに関係する言葉たちで、ほとんど名詞や目的語がそのまま書き留められているだけなのだけれど、大抵の場合は見ればその意味も併せて思い出す。
でも、たまに何の意図で過去の自分が書き残したのか全く分からない、朝には忘れ去られてしまった深夜の走り書きも……ある。

だいぶ前の例だとなんとなく面白かったのが『ジュリアン』だった。
これは神奈川の藤沢にある喫茶店の名前。多分、寝る前に調べて行きたくなったからメモに店名だけ書いておいたのだろうと思うものの、次の日の寝起きの頭では文脈から完全に切り離された『ジュリアン』に理解が及ばなかったのか「ジュリアンって誰だっけ……」と午前中ずっと考えていた。
思い出してからそこにはちゃんと行った。
写真の筐体ゲームテーブルがあり、カレーがおいしかった。

過去の自分が書いた謎のメモは詳細を思い出せない場合、本当の意味で、時空の隙間から部屋に滑り込んできた存在に変わる。
もしかしたらジュリアンは忘れてはならない友達の名前で、思い出してあげないと二度と会えない誰かなのかもしれない。呼ばれている。

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