10月31日に始まり、
10月31日に終わる。
そんな数ある物語の中でも、この本はいかがでしょう。
「これだ――あたしがおまえの歳に、これを知ってりゃねえ――
頃もよきかな、万聖節前夜(ハロウィーン)
仙境の民の繰り出す夜、
まことの愛を得る者は、
マイルズ十字で待つがよい。
だからそうするんだよ。はっきりしたもんだ」
「ええっ? 駅へ行くの?」
「他にあるかい?」
(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法 (創元推理文庫)』 Kindle版 位置No.5492-5496)
英国の少女ポーリィは10歳の頃、町外れの大きなお屋敷・ハンズドン館で行われていた「お葬式」にどういうわけか迷い込んでしまった。
折しもその日は万聖節前夜。
なぜ、ハロウィーンにお葬式?
おばあちゃんは、まともな家の人のすることではない、と言う。そういえばそこで、男の人「リンさん」に会ったような気もする。
でも大学生になるまで、全てを忘れていた。
加えて、その記憶に重なるようにして、現在の自分が憶えている昔の記憶もきちんとあるのだ。まるで、思い出が改竄されているかのように。
NOW HERE(今、ここ)
と、
NOWHERE(どこでもない)
を行き来して綴られる、新たな英雄の物語。