大澤千恵子『〈児童文学ファンタジー〉の星図 アンデルセンと宮沢賢治』を読み終わる。
著者が「星図」と称して抽出した要素には、題で名前を挙げた2人の作品を並べたとき見出せる関連……自尊感情、宗教、他者愛などがある中で、私はずっと「あこがれ」というものについて考えていた。
個人的に、彼らの描くあこがれの様相に共通点を見出していた。
"あのりっぱな堂々とした鳥のところへ飛んで行こう! だけど、こんなみにくい僕みたいなものが、遠慮なく近づいていったら、殺されてしまうかもしれない。でも、かまわない!"
(H・C・アンデルセン「完訳 アンデルセン童話集(二)」大畑末吉訳 岩波文庫 p.141)
"お日さん、お日さん。どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうか私を連れてって下さい。"
(宮沢賢治「よだかの星」青空文庫より)
自分の命(寿命)と引き換えにしても、そこに行きたい。
結果として死んでしまっても構わないから手を伸ばしたい。
それくらい強い思いが『木の精のドリアーデ』や『人魚姫』にも描かれている。アンデルセンの読者だった賢治へと受け継がれていったものや、影響についてなんとなく想像した。