山口晃 ここへきて止むにやまれぬサンサシオン
@アーティゾン美術館

行ってよかったー!このタイトルの展示はワンフロアだけなんだけど、とにかく描き込みがすさまじい+絵だけじゃなく言葉もたくさん読ませてくれるので、自分のペースで見てたら2時間経ってた…
ものすごい情報量、気持ちよかった。

サンサシオンはフランス語で「感覚」。
「制度が我々を取り込むのに巧妙化する時、やむに止まれぬサンサシオンをこそ頼るべきなのでしょう。」
スケッチの道具をなにも持っていなかったので見るだけだったけど、普段は模写NGの美術館が画家の意向で会期中模写OKになることあるんだ…と驚いた。
別の展示や常設のフロアも模写OKになってた。それってすごいことなのでは?

入り口が斜めの部屋でドタバタしてしまった…もう全然まっすぐ歩けない、どころか、手すりに掴まっても倒れないように必死。この部屋を出てからもちょっとくらくらしてた。
自分のサンサシオン、頼りにならなさすぎる。
これ施工した業者の人は大丈夫だったんだろうか…
[添付: 7 枚の画像]

東京パラリンピックの、あのアートポスター。「馬からやヲ射る」。
圧巻の原画とともに、アートポスターのオファーが来たときのこと、引き受けるかどうかの葛藤、描いた後のことが「当世壁の落書き 五輪パラ輪」として展示されていた。
とにかく読み応えがすごい。現代日本で美術を生業にしている人の頭の中がこんなにまっとうだと聞かせてもらえることが嬉しい。

ここに全部掲載されているのでぜひ。
peraichi.com/landing_pages/vie

五輪が政治利用の場であること、美術には戦争画の歴史があること、愛知トリエンナーレでの委員会側の実質的な恫喝行為、アートポスターに対するコメントを書いたらチェックが入ったこと(キショ…)
作家が作品の解説をするのは無粋と感じる人もいるのかもしれないけれど、教えてもらわないと気づけないこともあるので、絵にこめたものを知れてよかった。

『改めて大会ガイドブックも見てみる。スポーツの力が被災地に「夢と希望をもたらす」とあった。
では、それに乗っかった政治は何によって「夢と希望をもたらす」のか。
決まっている。「生きられる」ようにする事によってだ。』

図録(完売してた)の見本を見たら、この展示エリアが「東京こりごりん」と名づけられていて、軽妙・洒脱・痛快!
[添付: 6 枚の画像]

山口晃といえば(※個人の認識です)の細かすぎる都市風景画もたくさん見れて嬉しい〜細かいうえに全部大きくて、見ても見ても見足りない…!
実際にあるある、な場所や建物と、昔っぽいのと架空っぽいのとそこはかとないサイバーパンク感の渾然一体、大好き。
たまに蛍光っぽい色が使われてるのも良くて、一体どんなサンサシオンによって描かれたものなのか…

まんがの原画も展示されてた。
まんがのタッチから急に見覚えのある風景画が飛び出してくるからのけぞってしまうよ。
[添付: 8 枚の画像]

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これ最初わかってなくて、斜めから見て「あっ!」てなった。さんさしおん。どうやってこんなの思いつくんだ…!
これまでの人生で見てきた中で一番イケてるランドルト環も見れた。

セザンヌや雪舟の絵と、それをうけて山口晃が描いた絵も。
絵はもとより、セザンヌや雪舟の絵を山口晃がどう見て感じているか…を言葉で細かく書いてくれていて、私は美術の心得が本当にないからたぶん半分もわかってないんだけど、良かった…
わからないということは、関わらなくていい・関わる資格がないということではないので。

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