昨日の朝見た夢(承花)
卒業生にコサージュを着けるため、2年の生徒会が生徒玄関でスタンバイして、登校してきた3年生に着けていく。生徒会の中に典君の姿もある。
太郎は登校したらその様子を見て典君の列に並ぶ。が、待てど暮らせど順番は回ってこない。それもそのはず、典君の列は大人気で、ぬっと突っ立ってるだけの太郎の前に次々と卒業生が割り込んでくる。割り込まれても何も声を発さないから並んでると気付かれず割り込まれ続ける。
卒業生が粗方捌けてから、ようやく声を出す太郎。恋人の名前をそのバリトンボイスで呼ぶ。存在には気付いてたけど、わざと気付かないふりしてた典君。太郎の胸元に造花のコサージュを着ける頃には他の生徒達はもう誰も居なくなって、卒業式の準備に移動してて。
「卒業おめでとうございます、先輩」
何度も惚れ直したその笑顔で祝福の言葉をくれる恋人に、頬が緩む太郎。でも表情に気付くのはその恋人のみ。
「あれ?ボタンが一つも無いぞ?もう取られちゃったのかい?」
太郎の学ランのボタンは一つもない。コッソリ第二ボタンはもらおうと思ってた典君はちょっとがっかりしてたんだけど。
「手ぇ出せ」
ぼそっとそう言われて、疑問に思いながら片手を出すと違ぇ、と両手を出させる。(続)