Twitterの「毎月300字小説企画」に参加してきました :blobcat_cheer:
twitter.com/mon300nov

9月のお題は「まさか」
変な買い物をして行く男のお話。
「消防署の方から来ました(嘘はついていない)」…です👀🪐

フォロー

『買い出し』 

妙な男がいる。いつも生魚と果樹の苗、三本の鉛筆を買い求め、勘定より硬貨四枚分多くを支払い帰って行く。
「どうも、遠い星から来た人のような買い物をするね」
 ある日のこと、私はつい余計なことを呟いた。
「まさか。すぐ裏の家から来ていますよ」
 あそこです、と男が指差したのはなるほど、よくある古い民家だった。
 男はそれきり店に顔を見せなくなった。聞くところによれば、家を引き払ったらしい。
 無人となった建物は取り壊されることになったが、庭先にまるで地面ごとどこかへ飛び去ってしまったかのような大穴が見つかったという。
 埋め戻すのも一苦労なのだと、買い物に来た作業人がそうこぼしていた。

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。