中沢新一, 『野ウサギの走り』(中公文庫, 1989年)読了。
晦渋にすぎる。80年代後期の新人類的文体(中沢はその当事者だった)で書かれていることと, 内容が哲学的話題をほとんど妄想然に広げられているため, 新人類トレーニングを重ねるかどうかしないと読むに耐へない。
読んでいて苦痛以外の何物でもなかったが, 芸術に関してはその妄想ネタも想像的産物として役に立つ。但, 中沢が専門であるはずの人類学は批判的見当が加へられていないやうに思ふ。もっと普通にかけ。
近年では中沢の評価がほとんどされていないと感じるが, かういった次第である。