手塚治虫の戦中日記『紙の砦』1974年発表
(リンク先からすぐ読めます)
https://tezukaosamu.net/jp/war/img/tzka0112.pdf
フィクションが相当入ってる、とは氏自身が公言しているけれど。
ところで氏は漫画の描き方を教える際(『マンガの描き方:似顔絵から長編まで』)に以下3つを禁じている。
一、戦争や災害の犠牲者をからかうようなこと。 一、特定の職業を見くだすようなこと。
一、民族や、国民、そして大衆をばかにするようなこと。
氏の人権意識が絶対的に正しいとは言わないけど(こと女性表象については、現代ではとても承服しかねる※それでも当時のリテラシー内では先進的と言えるが)
実体験的に、戦争に関してはほんっっっっとに嫌がってるし憎んでる、というのは間違いなく受け取っていいと思う。
紙の砦の続編、『すきっ腹のブルース』(1975年発表)も無料公開されてるんでシェア。これも強くフィクションが打ち出されてる。
https://tezukaosamu.net/jp/war/img/tzka0114.pdf
死体がグズグズと腐っていく横で食べ物を求める戦後が描かれてる。
1975年発表だけあって、食べ物の単位の例えに「カップヌードルカップ1杯半」を持ってくるのは風俗史としても良いっすね(カップヌードルは1971年発売)
すきっ腹のブルースは戦後しばらくした、70年代読者に向けたものだとよく分かります。
(ひとつ前にシェアした『紙の砦』もそうなんだけど、「特別編集」とあって重要な主張は削除されてるかもしれない・・・などは含みおいて読む必要がある)