というか、
そもそも全ての創作について「ノンポリである」ことそのものが不可能で、一切の政治性を抜きたきゃ◯△◻︎で描きたまえと(しかし白い四角の真ん中に赤い丸を描けば即政治性が発生する)いうところで、
よりにもよって現在もなお明治政府の弾圧により世代間格差に苦しむアイヌを取り上げた以上、右か左かの明確な選択は迫られてしまう。
選択をしないなら右。現状維持、つまり保守だから。
。。。。が、みなさんご存知の通りハイパー極右は「アイヌは存在しない」が建前なので、ノンポリ仕草をしても明治に生きるアイヌを描いたゴールデンカムイは畢竟「アイヌ利権プロパガンダ」という立ち位置に追いやられYouTubeでも極右の批判チャンネルが乱立し(連載当初はかなりあったように思う)、利用も批判も右派、という珍妙な立ち位置にいる。
しかし珍妙ではありつつ、こういうことはよくある。右派はロジックがグダグダなので「(自分たちの主張としては)こんなものは存在しない!ところで利権は存在する!」という訳のわからないことを言うので。
で。。。。
私はそれでも、
「無邪気が一周まわると邪悪になるんですね」という創作者と監修と出版社、
Twitterでアイヌヘイトが起こってもひとことも言及しない上記三者&アニメ&実写関係者、
各種イベント関係者、
全てについて尋常じゃ無い目つきで見つつ、
それでも、忘却に押しやられようとしたアイヌ民族を取り上げたことを評価するよ。
これはヤマト系日本人(こうとしか言えない)の問題。教育から消され、教科書にも載せられず、歴史修正どころか「歴史抹消」までいき、道民はともかく本州以西では認識も危うかった民族を教科書に載せたのはコンテンツの力。
アイヌには許してくださいとしか言えないけれど、ヤマト系日本人に商業エンタメによってかろうじてオープンにされた。報道やアカデミー、教育の力のなさが情けないとも言える。
『ゴールデンカムイ』の作者インタビューで不信感を持ったので、家族に読まないように勧めた
というトゥートを前に見て、クソほどキレたんです。
今から思うとキレるほどじゃなかった。
「じゃあ今からアイヌ資料かき集めて文化と歴史と社会との関わり全部さらって読むんですよね、ご家族にそれ全部レポートにまとめて【あなたが】アイヌとウィルタとニヴフの違い、地方による刺青の入れ方の相違、家の作りや儀式、そういうものを【あなたの責任で】家族に説明するんですね」
という話で。
ヤマト系日本人に「えーあの作者嫌だ〜、もう作品全部忘れちゃお〜」という権利なんてないんです。
政治的なスタンスについてはともかく、その画力と取材力で細かな道具や風習を描きこんだのは文化アーカイブとして極めて貴重です。ゴールデンカムイの奥付けに書いてある資料、すごい量ですよ。私はそこが無価値とは絶対に言いません。(と言いつつ結構フェイク入れてくるから気をつけなきゃいけないんだけど)
せめて漫画くらい読んどこうや、というのは。
ちなみに、どーしてもゴールデンカムイは読みたくないんや!という人は『ハルコロ』をどうぞ。ゴリゴリの左派漫画家と少数民族研究家、アイヌ出身の国会議員経験者のトリオで描く漫画です。
漫画じゃなくても、という人は『ハルコロ』の原作とも言える本多勝一『アイヌ民族』をどうぞ!見応えありますよ。
約600年前のアイヌ民族を手塚治虫に師事した作家が描く。『ハルコロ』創作昔話を信頼の監修で「物語る資料」として読む。
https://ima-nakayama.hatenadiary.com/entry/2022/08/14/190000