政治学者の渡辺治先生が自選の著作集刊行されているのだけれど、第3巻『戦後日本の治安法制と警察』に収録されている論文「政治的表現の自由法理の形成」は、「表現の自由」を考える上で必読。
公安条例や破防法が出てきた背景や問題点を押さえつつ、反対運動が展開されるなかで、「公共の福祉」≒旧憲法における「法律の留保」とする当局の法理に対抗する法理が形成されていく過程を描いている。
この論文では、当時の総評や知識人による広範な運動が、いかに重要な役割を果たしたのかをつかむことができるので、権力に対抗的な社会運動の意義も学ぶことができる。