ずっと積んでた陣野俊史『泥海』を読んだ。2015年のシャルリー・エブド事件を元に書いたフィクション、だと思う。でもかなり詳細に取材して調査して書いたものなのではないかな。鮮烈で強烈で繊細だった。
たまたまやっと今読んだことには意味があったのかも、とか思ってしまう。あの時アラブやイスラムに向けられた西欧の、そして遠いところにいる私たちの視線を思い出す。今、私たちはガザ侵攻、虐殺にNOと言っている。
9.11の時(私はまだ3歳だった)の衝撃は今でも皆が口にするし、ワールド・トレード・センターに飛行機が突っ込む映像は多くの人の目に焼き付いている。でも、じゃあ、そのあとのブッシュのアフガン空爆は?アフガニスタン紛争は?そこで死んだ数えきれないほどの民間人は?あちらとそちらに、何の命の差があるの?
私たちは、私はきっとまだ、アラブやイスラムやユダヤを遠いものとしてしか見ることができていない。
陣野さん、私の通ってた大学でも非常勤講師をされていて、一単位分だけ授業を受けました。今ならもっとあの人の語りを受け取れる気がするのになぁ。