ペパーの口内でハルトの一部が暴れている。指だった、と思う。右の人差し指。骨張ったそれを転がして断面から舌で歯でなぞり、薄い皮膚と僅かな肉を剥がす。それを咀嚼して、結局、骨ごと食道へと押し込んだ。自由落下でない。狭窄部を乗り越え、収縮弛緩を繰り返し、横隔膜の傍を通って、暗闇が常在するその場所へ。道中何度か爪や骨が、硬い何某が、内側から柔らかな何某を引っ掻いていた。
胃液の海へと溶け、沈んだ頃だろうか。また逢えて嬉しい、なんて戯れているだろうか。しばらくは幽門が閉じ込めてくれる。腸相は未だ先。
ぺろり、口唇を撫で、ペパーは次の部位へとカトラリーを差し出した。