夢の中のお話 3月17日
「やっぱり、危険な成分が入っているんだな。」
「違うわよ、これは雪山付近に生息するスノーワスプが集めた雪中花の蜜です。」
雪の中に咲く花の総称が雪中花だ。寒い場所で鮮やかに咲き、その蜜は高級品とされる。
「これが雪中花のみで作られた蜂蜜です。これ1つで、1か月は暮らせますよ。」
さんごが雪中花の蜂蜜をヴァーニスに手渡す。
「これを、他の蜂蜜に混ぜてお見せに置いておいたんですが、あっという間に売れましたね。」
「人気商品だったんだな。」
瓶をまじまじと見つめるヴァーニス。
「ええ、これをしっかり買っていったのがギギガルさんですよ。」
「それと、約束を守るって言うのが結びつかないんだけど。」
「ギギガルさんは女の子ですからね。甘いものが好きなんでしょう。」
さんごの言葉に、2人は驚きの表情を見せる。
「さんご、蟻人族の性別の見分けがつくの?!」
レイナが驚くことも無理はない。蟻人族は見た目がほぼ同じで、服も同じようなものを着ている為、性別はおろか個体判別も難しい。
#novel
#小説