最近、「老人の知恵」ということを考える。
特にIT時代になって、若い人の方が知識もあるし吸収も早いし体力もあるし優秀、という意識を持っていた。若い人の方が革新的で民主的で平等主義、というのが相場だったし。
でも、最近、たとえばナウシカに出てくる老婆のような長老の知恵って大事なのでは、と思うようになった。
関東大震災時の朝鮮人虐殺をなかったなんていう人間は、関東大震災の経験者が生きていた時代にはいなかったことを、ある年代以上は知っている、というように。
きっとゲンの父親やその上の世代には、今バカげた、恐ろしいことが進行していると分かっていた人間がたくさんいただろう。大正デモクラシーを経験した世代だ。その世代の気持ちを、今、初めて我が事として考える。
一番、過激なのは、軍国少年・少女たちだったのだろう。石原慎太郎らがその世代なのを考えると、大日本帝国を内面化し、戦後も変わらなかった人間が、バックラッシュを担ったのでは、と思う。
成田悠輔に老人を退散させる方法を聞いた中学生。新たな軍国少年の誕生だ。