イスラエルと歩調あわせる米欧の「いびつな正義感覚」 長崎式典問題
東大の遠藤乾教授
《これは反ユダヤ主義に基づく主張ではない。イスラム組織ハマスの昨年10月の攻撃は不正だ。だがイスラエルの軍事作戦は被害に対してあまりにも不釣り合いな市民の犠牲、特に子どもの犠牲を出している。原爆投下にも共通するが、自衛権では正当化しがたい加害だ。
この不正義を見過ごす6カ国の認識のゆがみは歴史的なものだろう。米国とイスラエルは、新大陸とパレスチナにそれぞれ入植したという「建国の物語」を持ち、キリスト教とユダヤ教という宗教も同根で、理屈を超えた連帯感がある。ドイツや英国などの西欧諸国には、かつてユダヤ人を抑圧してホロコースト(大虐殺)にいたった贖罪(しょくざい)意識やイスラエル建国に関わった罪悪感から、イスラエルを反射的にかばう傾向がある。ウクライナはかわいそうで、ガザは仕方ないという態度の背後に、仮に人種的な選別があれば、より問題だ。》