モブ部下ちゃん目線の結婚後ふるあず妄想
「……実は、あずさ…嫁の誕生日が今日だったのを忘れてたんだ」
「はぁ!?」
まさかの真実に驚愕し、大きな声が出てしまった。
自分の素っ頓狂な声に他のデスクの面々も反応しこちらに視線を向けた。
「ケーキ予約はしてなかったんですか?」
「………」
降谷さんは押し黙っている。
“否定しないという事は肯定ととる”
目の前の上司の教えが今大いに役に立っている。
「じゃ、じゃあ、お休みの日に盛大にお祝いするんですか?」
「いや、まだそこまでは…考えてなかった…」
「ちょっ、何やってるんですか!?」
私の推しの誕生日を忘れていた事に呆れと怒りが沸いた。「ダメです、コンビニスイーツで済まそうなんて!」
周りも何だ?と集まってきた。
「今すぐケーキ買いに行ってください!一緒に花束の一つでも買って!」上司である降谷さんに一気に捲し立てる。
私の言葉でたじろぐ珍しいというかレアな姿を見てしまった。
なんだ、降谷さんに対してと先輩が窘めてきた。私は早口で事のあらましを伝えた。
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「さーってと、ぼちぼちやりますか」
先輩の一人が首を回しながら呟いた。
「降谷さん嫁さんのおかげで無茶しなくなったのになぁ」
「ホント、結婚して丸くなったよな」
「そんな素敵な奥さんの事、また蔑ろにしたら私…降谷さんでも許さないんだから」
頬を膨らませる私に
「今回はお前の手柄だな」
デスクに向かう先輩が私に向かってヒラヒラと手を振りながら労いの言葉をかけてくれた。
あと一仕事だと気合いを入れながら伸びをする。
窓の外を見ると薄暗くなった空に一番星が輝いていた。
【END】
#ふるあず
モブ部下ちゃん目線の結婚後ふるあず妄想
「それは降谷さん、一大事じゃないですか!買いに行ってくださいよ」
「いや、まだ仕事…が」
降谷のデスクには人が集まってきた。
「あとは自分達でも対応できるんでやっておきますよ」
「あ、ここのケーキ屋さんまだ開いてるっすよ」
「○○パティスリーのフルーツタルトが美味いって嫁が言ってました」
先輩達も降谷さんの背中を押し、中にはグーグロで近くのケーキ屋を検索してる先輩もいる。
「ってか今すぐ行ってください!只でさえ帰れてないんです。今日くらい帰ってください、このままじゃ奥様に愛想尽かされますよ!」
ぐっ、と息を飲んだ降谷さんに対し私をはじめ先輩達も力強く頷いた。
それを見た降谷さんは自嘲の笑みを浮かべ
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらう。悪いが後は頼んだ」
上司はジャケットとカバンを掴み足速にデスクを後にした。
廊下からは降谷さんの駆け足が小さくなった。