まだざっとしか目を通してないけど、マジで凄い本だった。「人を殴り殺せそうな分厚さ」「新刊でこれより分厚いのは京極堂の新刊ぐらい」と藤倉さんもネタにしているぐらい厚みがあるんだけど、中身の読み応えはさらに数倍濃い。

何よりまず、宗教2世問題の「現在地点」を正確に知ることができる。多分現時点でわかっていることの全てがこの一冊にまとまっている。同時に本書はこの問題について公に議論する際の前提知識を示してもいて、本書を踏まえない論は無価値と言ってしまっても良いと思う。

他の読み方として、国内の主要なカルトの実態を学ぶ上でも良書だと思う。特に評価したいのが創価学会のカルト性を仔細に分析していること。創価学会はエホバや統一と違ってわかりやすいカルト要素がない分、過小評価や過大評価をされやすい団体であり、そうした雑な結論を廃して丁寧に検証を行った貴重な文献だと感じる。

異分野の著者同士が知見を持ち寄って全体像を描き出す構図が美しく、「知識のネットワーク」に興奮を覚える性癖の読書家にもお薦め。学術出版なら万超してもおかしくない内容がたった1800円で読める信じられないお買い得本だと思います。

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