『ネブラスカ』(2013年)を観た。
まずブルース・ダーンの芝居が圧巻。認知症なのかどうか不明で、本心も不明な高齢者の仕草と表情が徹底していて、真にこういうヨイヨイなのではと錯覚させてくれる、匠の技。
息子は、おそらく横暴な父にイヤな思いをさせられて生きてきただろうに、「数日だけでも夢を見させてやろう」的な気持ちで旅に付き合う、それだけでもとても優しい。
「田舎の親戚づきあい」のイヤなところ、オンパレード。
会話が成立しない。親戚とはいえ生活環境や知性(?)の差が激しく、意思疎通できず途方に暮れる。親の若い頃を知る機会は、子どもにとっては親を深掘りできる貴重な機会なわけだけれど、「そんな側面、知りたくなかった」ということもあるわけで、そこらへんのビミョーな気持ちも、上手な描写。
MVPは母。デリカシーなくしゃべり暴露する母への息子の目線、共感する。墓地でのぶっ飛んだ行動は笑った(←他人だから笑ってられる)。一方で、納屋にいる息子たちを見られないように旧友と咄嗟に会話を成立させたり運転したり、賢い判断力の持ち主でもあり、そういうところも息子たちには新鮮だったはず。
最後に父がもらう帽子は、皮肉でもありつつ、こういう息子と家族に恵まれた彼への賛辞。