『ブックスマート』(2020)を観た。
楽しかった。かわいかった。
ただ…
あの高校は、ガリ勉タイプでなくても、高校生活をウェ~イと楽しみながらも要領よく勉強をこなしていればアイビーリーグに入れる、という高校である。それは、相当な恵まれた環境だ。あんなゴージャスなパーティーをなぜ高校生が開催できるんだ?
性差別もLGBTQ差別もなく、セクシャルな話を率直に話せる人間関係がどんなに心地よいかは、伝わってくるし、オリビア・ワイルド監督が描きたかったのは男性中心社会が永年作り上げてきた「高校生ってこういうヤツらだろ?」「女子高生ってこういうヤツらだろ?」というステレオタイプを拒絶したリアルな高校生像で、それプラス「人は見かけによらない」「偏見は捨てよう」というメッセージもとても良く伝わってくるので、その点はとても良かった。
だけれども、地獄のような経済格差に一切触れない以上は、あの子たちを「すごいリアル!」というのも限界がある。「こんなに努力して青春を捨てて勉強してきた私は!」と語るモリーは、自分の努力「だけ」でイェール大学にたどり着けたと思っているのだろうか。校長が薄給に苦しんでタクシー運転手のバイトをしていたくだりは、マジで笑えなかった。