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子どもが楽しそうに『男はつらいよ』を観ているのを眺める。
 どう考えてもイヤなヤツなのに、なぜ日本社会はこの映画シリーズ(というか寅さん)をもてはやしてきたのか、いつかきちんと言語化したいと思っている。ぜったいに何かしらの「歪み」があるはずだから。

 好きな女性に自分の気持ちを率直に伝えない点はもとより、寅次郎は常に、誠実なコミュニケーションから逃げる。あなたの気持ちが知りたい、なぜこんなことしたんだ、お前はどう考えるんだ、と相手が誠実に向き合って対話しようとすると、100%逃げる。コミュニケーションが苦手、という領域を飛び越えて、コミュニケーションへの極端な恐怖を感じる。他方で、自分は人間だの恋愛だのを誰よりも深く知ってるかのように語り、うまく立ち回ってやろうとお節介を発揮し、失敗する。惨め。大げさでは無く、なんらかの特質なのだろう。「伝統的家族」幻想にとらわれた柴又界隈だからこそ、不定期に突然寅次郎が帰宅してもガマンして受け入れているが、現代ならあり得ないし、自分がさくらだったらと思うと鳥肌が立つ。
 (かつての)人々は、こういう車寅次郎の何に魅力を感じたのだろう…「自分もあんな風に自分勝手に生き抜いてみたい」とか?





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