『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
(続き)
デ・ニーロの狂気。「あぁ、待ってました!!」と泣きたくなる。しびれる。。。。
出だしっから「俺のことは…そうだな、キングと呼べ」だよ、もう、、、出だしっからサイコなんだこの人は。でもそこで「えっ」とか「あ、やっぱ帰ります」とドン引きできなかったアンソニーは、もうその時点でヘイルに支配されてしまった。
口を開けば「受益権」「受益権」「受益権」…どう先住民から利権を奪うかしか考えない、人を自分の駒としか考えないクズだけれども、オセージ族の冠婚葬祭に参加しオセージの言葉を話し、見事に懐に入り込んで信頼を勝ち得ている、穏やかな老紳士。身柄を拘束されても決して怒りをむき出しにしたり怒鳴ったりしない。めちゃくちゃ怖い。真骨頂だった。
(続)
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
(続き)
モリー役のリリー・グラッドストーン、めちゃくちゃ上手だった。
なんて悲しい目なんだろう、心を奪われる。悲しい姿もまたきれいで。
目だけで、モリーが備えている知性が伝わってくる。夫を信じたい気持ちや夫への愛と、「どう考えたっておかしいだろこれ」という不審。両方の板挟みで苦しい内面を、あんなにも静かな演技でぜんぶ表現しきっている、ものすごい才能だと思う。私に何を注射してたんだ、と投げかけるときですら、静か。
それに対しての、あのアンソニーの小者感。あれもまたディカプリオの匠の技としか。。。
「単なるサインだから」「あなたのためなんだよ」…古今東西あるあるの「それ、ひっかかっちゃいがちなヤツ」にもれなく飲み込まれていくアンソニー。モリーへの愛は偽りないはずなのに、でも注射してしまう「ダメなやつ」。ヘンリー・ヒルのようにお金中毒・コカイン中毒でもない分、なんでこんなことしちゃうのか謎で、叔父への恐怖・忖度に流される弱さと「ほんとガッカリだよあんた」感が強い。彼を主人公にして話を転がせるスコセッシとディカプリオの技量、心から尊敬する。
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