『アシスタント』を観た。
明るい展望が見えないまま終わったので、ちょっと落ち込んだ。
無機質なタイプ音、オフィス機器の音、家電の音の中で、うつろな表情で雑用を片付けつづける主人公。彼女自身が組織の「機器」扱いをされているんだなと伝わってくる。
同じ部屋の男性(先輩)は言葉をかける代わりに丸めた紙を投げてくる。彼女を人と思っていない証拠。
まだ入社して5週目だという。プロデューサー志望で入社したとなれば、普通ワクワク楽しそうな表情をしていてもおかしくないはずなのに、もうあんな表情。すでにどれだけの「思ってたんとちがう」が積み重なっているのか、、、
意を決して別棟の上司に相談しても、「まさか」の対応。まさかこんな歪んだまとめをされるとは、彼女の衝撃と絶望が、分かりすぎて胸が痛い。しかもハラスメント相談がものの数分で社内に筒抜けという地獄。
性搾取の加害者(本作品では会長)は、罵倒して追い詰めて、褒める。モラハラ夫の典型。主人公の混乱もモラハラ被害者の典型。会長の暴力的な圧はすでに会社の構造と漂う空気になっているから、会長の姿は見えなくても存在は息苦しくなるほど分かる。
最後、エレベーター内での女性のひと言に、うなだれた。