上雲楽「我々へ」と大滝のぐれ「フルーツバスケット・セレモニー」は異常な世界を説明もなく投げっぱなしで提示することで逆に強い説得力を持たせてるのがたまらん。
水町綜「窺える死」と青島もうじき「ガシャン」はどちらも題名と内容のギャップが凄いけど、読了後に腹の中で納得してしまう抜群の完成度。逆に題名そのままの内容な常菱聞「離婚式」も末期感がヤバいよ〜。
そして大トリである瀬戸千歳「飛光」は、儀礼に縛られた世界を打ち破る鎚のような力強い作品。同じく儀礼から抜け出す話である藤井佯「白鷺憑姫」は血泥を這って進むような暗さで読者を呪うような凄味があるけど、「飛光」は崖っぷちから差し込む光のような、ラスト一文の輝きといったらないよ……!
これで全部じゃないけど、とにかくもう全部が凄すぎる作品ばかり。もっとまだ噛み砕いて解釈したい作品がまだまだいっぱいあります。