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倉地克直
『江戸の災害史―徳川日本の経験に学ぶ』

「徳川の平和」の裏で、次々と大きな災害に見舞われた江戸時代。現代よりも生きることが遥かに困難な時代だったとはいえ、正直これほどの頻度とは思っていなかったので、読んでいて気持ちが沈んでしまった。
幕府や藩が救済や復興に苦心するなか、人々のあいだにも災害を記憶に留めようという意識が芽生えていったという。そこには後世への警句とともに人間の生きた証を残したいという願いを感じる。その一方で、人の手に負えない災害の苦しみを洒落によってやり過ごし、再スタートとしての「世直り」を待望するというこの時代の心性もまた強く印象づけられた。

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