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アンヌ・ベレスト
『ポストカード』

差出人不明のポストカードには、「わたし」=作者アンヌ・ベレストの曽祖父母とその子供たち……かつてアウシュヴィッツで命を落としたラビノヴィッチ一家4人の名が記されていた。でも、いったい誰が、なんのために?
カードに記された4人、そして一家のなかで唯一収容所行きを免れた祖母ミリアムのたどった道のりを追いながら、みずからのルーツとアイデンティティについて自問するアンヌ。登場人物たちの心の動きがつぶさに、彼らを取り巻く環境とともに重層的に語られて、ずしりとした読み応え。最初はノンフィクションかと思って手に取ったため、小説としての肉づけがされていないものを読みたかったという気持ちもあるが、それでも、家族が生きた記憶を消し去りたくないという作者の思いが強く伝わってくる作品だった。

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