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西村義樹・野矢茂樹著『言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学』(中央公論新社、2013)、読了。

認知言語学者の西村が哲学者の野矢に認知言語学について講義する対談形式の本。
西村の出す用例も豊かだが、野矢の要約力と批判力が極めてシャープ。
白眉は第4回「『死なれた』のか『死なせた』のか――使役構文の家族的類似性」と第5回「『村上春樹を読んでいる』――メトニミーをどう捉えるか」。
「使役」とは「因果」。「太郎が窓を開けた」は「太郎が窓に働きかけて(原因事象)、その結果窓が開く(結果事象)」こと。
「赤(い)」にあたる語はいろいろな言語にあるが、どの言語でも共通にその語で意味される赤さの範囲があり、それを「焦点色」と呼ぶ。「焦点色」は人間に共通している。
ラネカーによると、人間には「参照点能力」が備わっており、「メトニミー(換喩)」はその能力の現れ。「村上春樹を読んでいる」と言う場合は、村上春樹という人物が「参照点」で、彼の作品が「標的(ターゲット)」。などなど、自然言語の不思議さに立ち会える。

とても面白かったです!

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