日野草城『人生の午後』再読、読了。
闘病記録だとはわかっていたが、あの才気走って洒脱だった草城の晩年はこうだと思うとつらい気持ち……。
あと、私自身は病に伏したら、こんな風に書けるかというと、多分難しい……。
大寒や半天の碧玲瓏と 日野草城
鼠捕り置きたれば闇いきいきと
一歩出てわが影を得し秋日和
疲れたる紙幣(さつ)を共同募金とす
高熱の鶴青空に漂へり
病体を拭いてもらひぬ柚子湯もて
働いて寒い闇より戻りし子
暮春の書に栞(しおり)す宝くじの殻
夏布団ふわりとかかる骨の上
貧涼しコスモスの葉に月さして
初咳といへばめでたくきこえけり
見えぬ眼の方の眼鏡の玉も拭く
ラヂオ体操の曲にて指を屈伸す
コスモスや妻がやさしく子がやさしく
#読書