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奥村隆『他者といる技法 コミュニケーションの社会学』(筑摩書房、2024)読了。1998年に日本評論社より刊行された単行本の文庫化。

問いを読者に投げ返す「透明な描き方」を目指す。第一章では「思いやり」と「かげぐち」の技法。第二章は「私」を破壊する「私」について。第三章は、本書の白眉とも言える、異質性に対象する技法。第四章は中間階級・きちんとすること・他者について。第五章では自己啓発セミナーにかんする雑誌の分析による、非難の語彙と市民社会の境界について。第六章は、これも実に素晴らしい論考で、理解の過少・理解の過剰について。
「承認と葛藤の体系としての社会」のなかで、「私たち」は存在証明を危うくしすぎないように他者からの承認をうまく得るために、さまざまな技法を利用している。

解説の三木那由他も良く、ひと時代前の論考でありながら、繰り返し起こっている問題についての深い洞察がある。読んでいて、内省的な不安も湧くが、とても良い論考だと思う。

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