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小津夜景『ロゴスと巻貝』(アノニマ・スタジオ、2023)読了。

読了、というか、了らずに波のように思い出したいエッセイ。
小津さんのエッセイはカルヴァドスのようだと思っていたが、今回は軽さが増して、Glenfiddich12の青林檎感が高めのハイボールが似合うと思った。実際、途中から飲み始めた。飲酒の自由を許してくれそうな、小津さんの筆致の自由さがある。

〈歩くこと。それはここ以外のどこかへ行くことだ。読むことも、きっとそうなのだろう。そして書くことも。書くことと読むことは鏡のような関係で、実は切り離せない。作者は自分の文章を書きつつ読み、読みつつ書くをくりかえして一冊の本をつく るし、読者は読者で読みつつ感想を紡ぎ、紡ぎつつ読むをくりかえす。こんなふうに 書くことと読むことが同時に起こって、たがいに影響を及ぼしあうような対話の空間 を、わたしは本と呼んでいるのだと思う。〉

素晴らしいエッセイだった。

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