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アストリッド・エアル/山名淳訳『集合的記憶と想起文化: メモリー・スタディーズ入門』(水声社、2022)読了。

想起の社会文化的な領域を扱う。
ホロコーストや第二次世界大戦を経験した世代がやがていなくなることが国際的に重要になり、文化的にショアーを想起することにとって、このことは大きな転機を意味する。
メディア技術の領域の変容により、記憶というテーマの存在感が高まっている。デジタル革命により、メディアによる記憶保存可能性と忘却の危険が逆説的に連関する。

「集合的記憶」は、生物的な、心理的な、メディア的な、社会的な諸事情の上位概念であり、そうした諸事象の意味は過去、現在、未来が文化のそれぞれの文脈に応じて作用し合うことによって獲得される。

個人の次元においても、集合的な次元においても、文化と記憶の関連は有効で、文化は、象徴、メディア、相互作用、制度を通じて〈集合的記憶〉を確立することで初めて生起する。

学際的で網羅的なので少し読むに骨が折れましたが、良い本でした。

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