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高木駿『カント『判断力批判』入門: 美しさとジェンダー』(よはく舎、2023)読了。

とても良い入門書。ですます調でやや砕けた書きぶりだが、こちらは読みやすかった(個人的にですます調だと「手早く読まなきゃ!」と焦りがち)。今回はじっくり読めた。
カント美学には独特のタームや言い回しがあり(「無関心性」や「目的のない合目的性」など)、原文から理解するのが難しいのだが、本書はギリギリまで噛み砕いて説明している。

カント美学では小田部胤久『美学』(東京大学出版会、2020)という、考察も論理も文体も構成も見事としか言いようのない実に素晴らしい本があるが(音読しても美しい!)、本書の新規性はジェンダーの視点があること。そして、最終的には男女二元論への批判がある。

〈すでに多くのフェミニスト研究者が指摘しているように、トランス嫌悪、とく にトランスミソジニーは、家父長制を解体するどころか、むしろその強化に貢献します。そんなことを せずとも、美の男性中心性を解体することはできるはずです(例えばクイア神学のように)。僕は、だれかを 差別・排除することなく美の家父長制を解体する方法を模索します〉

高木本と小田部本を並べて読むと理解が水路づきそうで、もう一度小田部本も読みたくなった。

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