DV家庭で育った。夫婦というのは、ここまで女性が文字通り血みどろにならないといけないのかと思っていた。母は酔っ払った父が帰ってきて「電気が点いていない」と殴られ、「電気が点いている」と蹴られた。肋骨に罅が入り、片目を失明しかけた。精神的・経済的DVも恒常的だった。
とても印象深い想い出がある。
父が外食に連れて行ってやると私と弟に言い、母が運転してレストランに行った。父は母に車で待っているように言って、私と弟だけを店に連れて行った。味など覚えていない。ただただ待っている母に申し訳なく、その一方で接待者のように父の冗談にいちいち笑ってみせた。
結婚が、パートナーシップがあれば幸せなわけではない。むしろ地獄のこともある。私は今はたまたま運がよく幸せだが、誰かにそれをお薦めだと言う気は微塵もない。大きな賭けでリスクも高い。