鷲谷花『姫とホモソーシャル』を読んでいる。第10章のナウシカについての批評が面白い。「生命あるものを満遍なく愛しながらも、個人的な人づきあいへの意欲は乏しい風情のナウシカに対し、あえてつきあいを求めて踏み込もうとする意思を、最も強く示す人物は、大国トルメキアの皇女クシャナかもしれない。」「孤高の女性ヒーローとしてのナウシカは、「相手役」としての男性キャラクターを特に必要とせず、目の前にいれば優しく接しはするものの、結局は彼らを取り残して突き進んでゆく。クシャナは、そんなナウシカに関心を向け、近づこうとする意欲を示しつづける。両者の関係は、善悪二元論の対立とも、ライヴァルとも、あるいは姉妹的な友愛とも異なり、既存のフィクションの女性同士の関係の型におさまらない。」確かにそう。同意しかない。