WEリーグは興行が成り立っていないと言う人間がいる。確かに平均観客数は当初目指した5000人に全く届かず、今季も1400人程度でしかない。
しかしコロナ禍の中で立ち上がることになったのは選手達のせいではない。選手達は皆必ず「自分たちが頑張って見てもらうしかない」と言う。選手は懸命にプレイし、SNSで情報を発信し、ファンを増やそうとしている。サッカー女子日本代表の選手も「代表で結果を出して女子サッカーを盛り上げたい」と必ず口にする。
女子CL決勝のバルセロナvsヴォルフスブルクは9万人を集めたが、欧州の主要な女子リーグでも通常時は観客1500人程度だ。それでも欧州各国は投資し、選手の環境を良くし続ける。
選手は皆、一人のプロとして、誰かの憧れとしてクラブに丁寧に扱われ、発信されていく。それは巡り巡って、女子サッカーの発展や女性の社会進出そのもののに繋がる。
翻って日本はどうか。選手は2011年より以前からずっと頑張ってきた。問題はそれに応える側の凝り固まった思考にあるのではないか。
いつか日本で女子ワールドカップが開催される時、そんなこともあったと思える社会になっていて欲しいと思う
海外サッカーの嫌な感じが目につくようになったがサッカーは観たいと思い、女子サッカーをカテゴリーを問わずに見初めて1年経った。
今回の女子ワールドカップで特に強く感じたことは、女子サッカーが女性のエンパワメントを標榜するのは当然ということだ。
カナダ代表のMFクインは2020年に「トランスジェンダーであり、ノンバイナリー」と表明。同性のパートナーがいる選手も当たり前におり、736人の選手の内、公表している選手だけで95人がLGBTQ+の当事者だ。
更に子を産んで競技を続ける選手も多い。男子サッカーよりレイヤーが多く、社会問題にコミットするのは当然なのだ。
国内外問わず、女子サッカーを取り巻く環境はそのまま今の社会問題にも通じる。
男子サッカーがコミットしていないとは言わないが、ではWEリーグの理念への男子サッカーファンのネガティヴな反応は何と説明すれば良いのだろうか。
女子サッカー選手は自己肯定感が低い選手が多いとよく聞く。サッカーをしていれば"女子だから"と言われ、社会問題にコミットすれば"ポリコレ"と言われ、そしていつだって「卵(投資)が先か、鶏(人気)が先か」を問われ続けるからだ
ゆきひと。20↑shipper ▼映画、ドラマ、ミステリー小説 ▼稀に二次創作も。フォローはお気軽にどうぞ ▼トランス差別を含むすべての差別に反対しています