大喧嘩する赤安 続き
「最後に思い出すのが、ってやつ…」
「ああ…」
赤井はローテーブルの向こうに座る零くんのところまで歩み寄ると、零くんの頬にそっと触れました。
「俺はどんな時だって君の笑顔を思い出したい」
「走馬灯?そんなのを見る前提で話さないでください」
「いや、仕事中でも休憩中でも」
「仕事中はだめだろ」
零くんからは文句しか出てこないですが、その口調はさっきまでの喧嘩中とは異なります。赤井が静かに抱き締めましたが、抵抗もありません。
「さっきは言いすぎた」
「…いえ、僕こそ」
「仲直りしてくれるか?」
「……もう少し冷静になれるまで、待ってもらえますか?」
赤井の腕は零くんを包んでいるのに、零くんの腕はいつものようには赤井の背中に回されません。
でも仲直りしたい意思はあるんだと、赤井の上着の裾を握りしめることで示そうとしてきます。
そんな零くんの健気な態度に、赤井は益々抱き締める腕に力を込めるのでした。
大喧嘩する赤安
同棲するようになって暫くした頃、些細なことから大喧嘩に発展してしまいました。
殴り合いの末、とうとう零くんが「もういいです!」と啖呵を切って出ていこうとしました。
仕事に必要な服やPCだけ突っ込んだキャリーを持って玄関に行こうとすると、赤井に本気の力で腕を捕まれます。
「待て、どこに行く気だ」
「どこって、僕の顔なんか見たくないんでしょう?だから出ていくんですよ」
「駄目だ」
何が駄目なんだよ、と零くんは苛立ちのまま赤井を睨み付けますが、赤井も目を逸らしません。
「正直なところ、俺も腹が立っている。今はまだお互い冷静に話せないだろう」
「だったら」
「だが仲違いしたまま出ていくのは駄目だ。俺達の職業はいつ何があるかわからんだろう?最後に思い出すのが今この時だったら、君はどう思う?」
はっとした零くんは、睨むのを忘れて瞬きしました。
零くんから家出の意思がなくなったとわかったのか、赤井も腕を離してくれます。
零くんは荷物を自室に戻しました。
赤井はその間に紅茶を2人分用意します。
飲み終わるまで、2人とも無言でした。
「…さっきの」
「うん?」
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20↑、昭和生まれ、BL育ち。二次読む専。いまはDCあかあむ(左右相手固定)メインだけど、雑多に好き。雑多につぶやく。無言フォロー失礼します。
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